organic electroluminescent (EL) panel

 有機ELパネルは,液晶パネルに比べて暗所コントラスト比が高い。液晶パネルは画面全部を黒色で表示をしてもバックライトの光が漏れ出し,やや明るい黒色として表示してしまう。これに対し,有機ELパネルは黒色がしっかりと沈むため,自動車のインスツルメンツ・パネルに使うと夜間の暗い車内で非常に美しく,高級車の雰囲気づくりに有効であると有機ELパネルを開発している部品メーカーは言う。

 矢崎総業は,車速やエンジン回転数,ガソリンの残量といった通常の計器で表示する情報に加えて,地図や天候,目的地までの所要時間,さらには緊急車両の接近を示すアニメーションなどを表示できる有機ELパネルを開発し,2004年10月に開かれた「ITS世界会議」で展示した(図1)。

 110mm×110mmのパネル3枚からなり,精細度は130ppi,輝度は200cd/m2,表示可能な色数は26万色。駆動方式はアクティブ型である。

 東北パイオニアも−40℃~+85℃で長時間駆動が可能な1.9インチ型と2.7インチ型のパッシブ型有機ELパネルを同じ会議で展示した。+85℃で100cd/m2の輝度が半減するまでの時間を3000時間以上に延ばしたという。+25℃下における輝度の半減時間は1万時間以上で,欧州の自動車メーカーに向けての黄色有機ELパネルの量産を始めているとのこと。液晶パネルにはない低温における高速応答性も有機ELの利点だという。

矢崎総業のアクティブ方式有機ELパネル
図1●矢崎総業のアクティブ方式有機ELパネル
2008年ころの実用化を目指している。