Sensor

 クルマは数多くの車載センサを搭載している。最近注目を集めているのは,レーダやカメラなど,事故を未然に防ぐためのセンサである。自動車事故が年々増え続けていることから,自動車メーカーがセンサの活用に期待を寄せている。

 レーダは主に,ミリ波レーダとレーザ・レーダの2種類がある。ミリ波レーダは雨や霧に強いため天候に影響を受けにくいという特徴があり,レーザ・レーダは価格が比較的安いというメリットがある(図1)。

図1 デンソーのレーザ・レーダ
図1 デンソーのレーザ・レーダ
2次元スキャナからレーザを照射して,受光レンズで反射光を受ける。受光レンズには,焦点距離の異なる部分があり,検知範囲は近距離は±18度,遠距離は±8度。

広角化が進むレーダ

 レーダは検知角の広角化が進んでいる。検知角が広いほど,障害物を検出しやすい。現状では最大でも36度程度で,さらなる広角化が期待されている。具体的な機能としては,衝突を未然に防ぐ「プリクラッシュ・セーフティ・システム」や高速域の「先行車追従」機能などがある。2004年には,トヨタ自動車と日産自動車が相次いで低速域の先行車追従機能を追加した。これは渋滞時の運転に役立つ。

 トヨタ自動車は2004年7月に発売した高級セダン「クラウン マジェスタ」で,低速域の先行車追従機能を備えた。2003年2月に発売した「ハリアー」で採用したレーザ・レーダは,高速域(40km/h~100km/h)の先行車追従機能を備えていた。クラウン マジェスタでは,同じレーダを用いながらも低速域(0km/h~30km/h)の先行車追従機能も備えた。レーザ・レーダはデンソー製で,横方向の検知角は低速域が36度,高速域は16度である。プリクラッシュ・セーフティ・システムには,デンソー製のミリ波レーダを用いており,横方向の検知角は20度。

 一方の日産自動車は2004年10月に発売した高級セダン「フーガ」で,横方向の検知角を同社が従来使用していたものの倍となる30度に広げたオムロン製レーザ・レーダを採用した。フーガでは,プリクラッシュ・セーフティ・システムと高速域(40km/h~100km/h)の先行車追従機能に加えて,新たに低速域(10km/h~40km/h)の先行車追従機能を備えた。低速域の先行車追従を備えるに当たって,検知角の広いレーダが必要になったという。

カメラで車線検知

 カメラには,CCDカメラとCMOSカメラの2種類がある。当初はCCDカメラが主流だったが,後発のCMOSカメラも性能が向上してきたことから,低消費電力のCMOSカメラを採用するメーカーが増えている。運転者に見せる用途では映像の再現性が優れているCCD,撮影した映像をセンサとして使うにはCMOSと使い分けているメーカーが多い。

 カメラは,車両周囲の運転者の死角を映し出すものから,車両前方の障害物を検知するもの,車線を検知してステアリング操作を支援する車線維持支援システムとして機能するものがある。車両周囲を映し出すカメラは各社が実用化しており,フロント・グリルやサイド・ミラー,リア・ドアに取り付けて利用する。

 レーダやカメラ以外のセンサとして,最近では「MEMS(micro electro mechanical systems)」を用いた加速度センサもある。エアバッグやエンジン制御,車載機器などの加速度や圧力センサとして利用されている。また,タイヤの空気圧を監視するシステム「TPMS(tire pressure monitoring system)」は,タイヤの中にセンサを装着して空気圧と温度を測定する直接式,ABSの車輪速センサを使って左右のタイヤの回転差から空気圧の低下を検出する間接式の2種類がある。