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エックス・バイ・ワイヤとは

エックスバイワイヤ

2006/03/27 20:30
出典:カーエレクトロニクス テクニカルターム、 (記事は執筆時の情報に基づいており、現在では異なる場合があります)
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X-by-Wire

 油圧や鋼製ワイヤ,シャフトなどの機構を用いず,電気的にステアリング操作やブレーキ操作などを行う技術。ソフトウエアだけで高度な車両制御が可能となる。スロットル・バイ・ワイヤ,ブレーキ・バイ・ワイヤ,ステア・バイ・ワイヤなどがあり,エックス・バイ・ワイヤ(X-by-Wire)はその総称。航空機で使われているフライ・バイ・ワイヤ(Fly-by-Wire)技術に似ており,例えばステア・バイ・ワイヤの場合,ステアリング角度や操作力をセンサで検知し,これを電気信号として操舵システムに送信することで,タイヤを左右に動かす。

 大きなメリットといわれているのが,ソフトウエアによる制御の幅が広がること。例えばブレーキをバイ・ワイヤ化すれば,現在は複雑な機構が必要になるABS(anti-lock brake system)や横滑り防止装置なども,制御ソフトだけで実現できてしまう。そのほか,機構部分をなくすことによる軽量化や,油圧配管がなくなることで工場での組み付けが容易になるという製造工程上のメリットもある。

 バイ・ワイヤの中で既に広く普及しているのが,スロットル・バイ・ワイヤだ。いわゆる「電子制御式スロットル」で,運転者のアクセル・ペダル開度をセンサで読み取り,その信号を伝達してモータでエンジンのスロットル・バルブを開閉する。自動変速機のシフト・ダウン時に回転速度を合わせたり,リーンバーン・エンジンなどで空燃比の調整に合わせたスロットルを操作することなどが可能になる。

 そのほか,現在普及しているバイ・ワイヤ機構としてシフト・バイ・ワイヤがある。スイッチで変速動作を可能にするもので,ドイツBMW社の「7シリーズ」などが搭載している。インスツルメンツ・パネル周辺のデザインの自由度が上がるなどのメリットがある。

ステア・バイ・ワイヤは難しい

 DaimlerChrysler社のMercedes-Benz「SLクラス」は,2001年からドイツBosch社のブレーキ・バイ・ワイヤ・システム「SBC(sensotronic brake control)」を取り入れている(図1)。ブレーキ・ペダルの操作を電気信号としてブレーキ機構に伝える。ただし,ブレーキ・キャリパを電動とした「電動ブレーキ」ではなく,ペダルの踏み込み量に応じて油圧発生装置を駆動している。

 ブレーキを駆動するための油圧配管を大幅に少なくできるのがメリットだが,現在のブレーキ・バイ・ワイヤはいずれも非常時のために油圧系統を残している。国産車でもブレーキ・バイ・ワイヤを名乗る機構を導入した例はあるが,やはり油圧系統を残している。

 モーター・ショーのコンセプト・カーなどでよく見られるのが,ステア・バイ・ワイヤだ。ただし,クレーン車などの例外を除き,量産車での採用例はない。タイヤの角度を電子制御できるほか,現在の自動車が必ず装着しているステアリング機構(コラム軸など)を不要にできるため,エンジン・ルームのレイアウトを大幅に簡略化できる。右ハンドル,左ハンドルを簡単に切り替えることも可能になるほか,軽量化や安全性向上に対する効果も大きい。

 普及の足かせとなっている点としては,まずステア・フィールの問題が挙げられる。ほかのバイ・ワイヤ機構と異なり,ステア・バイ・ワイヤでは路面情報を運転者に伝える必要がある。そのために,タイヤからの入力をセンサで読み取りアクチュエータで再現して,ステアリングに戻す機構が必要になる。緊急時の安全性確保のために,機構を複数用意するなどの対策も必要になり,コストが掛かりすぎるという問題も残っている。

 電気自動車や燃料電池車はエックス・バイ・ワイヤを採用すると機構部品がほとんどなくなり,斬新なパッケージングが可能になる。2002年に米General Motorsが発表した燃料電池車「Hy-Wire」はエックス・バイ・ワイヤを全面的に採用し注目された。

Mercedes-Benz「SLクラス」のブレーキ構造図
図1 Mercedes-Benz「SLクラス」のブレーキ構造図
ブレーキ・バイ・ワイヤを採用したが油圧配管がまだ残っている。

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