in-wheel motor

 ホイールに内蔵したモータ。動力の伝達効率,応答性ともに良く,モータを4輪それぞれに装着すれば4輪すべてを独立制御できる。さらに,ドライブ・シャフトやデファレンシャル・ギアなどが不要になり,車体設計の自由度が向上するほか,室内空間を拡大できることから,電気自動車や燃料電池車の駆動システムとして期待されている。

 しかし,バネ下質量が重くなることから,乗り心地の悪化やタイヤの接地性の低下による走行安定性の悪化などが課題となっていた。そこでブリヂストンは,モータの質量を乗り心地の向上のために使うという逆転の発想をしたサスペンション・システムを開発,2003年9月のフランクフルト・モーターショーに出展した。このシステムは,車軸に対してモータがダンパとバネを介して取り付けられている。モータが車軸の動きに対して逆位相に動くことでダイナミック・ダンパとして機能する。これにより,車軸の振動を相殺してタイヤの接地性を向上させている。

 構造が複雑になり電気自動車のコスト高を招くという指摘もあるが,ブリヂストンは改良を進め,2006年2月にはバージョンIIIを発表した(Tech-On!関連記事)。バージョンIIIでは,モータをアウター・ロータ方式からインナー・ロータ方式に変更し,そのほかの部品も改良した。バージョンIIではホイールの適用サイズが18インチ以上だったのに対し,14インチ以上とし小型化した。また,モータ単体の質量を従来の約60%に低減している(図1)。

ブリヂストンが開発したインホイール・モータ
図1 ブリヂストンが開発したインホイール・モータ
2006年2月に発表した最新型はインナー・ロータ方式に変更してホイール径も小型化している。