global system for mobile communication

 欧州が標準化した,いわゆる第2世代(2G)のデジタル携帯電話システム。標準化団体はETSI(European Telecommunications Standards Institute)の前身であるCEPT(Conference of European Posts and Telecommunications)。多元接続方式(同じ周波数帯の電波を複数のユーザで利用する技術)としては,時分割のTDMA方式を用いる。

 欧州では900MHz帯を使うGSM携帯電話機が全域で使えるものの,都市部では利用周波数不足によりつながりにくい状況にある。この周波数不足を補うため,GSM方式を1.8GHz帯で使えるよう修正したDCS-1800(Digital Cellular System 1800)を策定し,併せて都市部を中心に1.8GHz帯の周波数を割り当てた。このほか,北米地域ではGSMに850MHz帯や1.9GHz帯を割り当てている。こうした背景から,現在市販されているGSM方式の携帯電話機のほとんどは,これらの複数の周波数帯に対応している。

 GSMを応用した通信方式として,パケット通信に対応したGPRS(general packet radio service),データ伝送速度を384kビット/秒に高速化したEDGE(enhanced data rates for GSM evolution)」などがある。

 GSMを採用している国は多く,特に欧州やアジア,アフリカなどでは主流になっている。GSM Associationによると,2005年9月時点でGSMを使用可能な国は210カ国あり,契約数は15億,シェアは77%に達するという。GSMを採用していない国は日本と韓国など少数である。日本の場合,第2世代の携帯電話方式として,海外での採用実績が無い日本独自方式のPDC(personal digital cellular)を採用した。そのため,日本国内向けのPDCの携帯電話機は海外向け機種との互換性がなく,量産効果による製造単価の削減が期待できない状態が続いてきた。