光ディスクのように材料の結晶構造を変化させることで情報を記憶する不揮発性メモリ。PRAM(phase-change RAM),またはPCM(phase- change memory)とも呼ばれる。

 相変化メモリは,フラッシュ・メモリのような消去動作が不要で,読み出し速度もDRAM並みに高速であることから,将来的には携帯電話機などに利用されるNORフラッシュ・メモリやDRAMを置き換える技術として期待されている。2009年9月に韓国Samsung Electronics Co., Ltd.がスマートフォンなどの携帯機器向けに量産を開始したことで一躍注目されるようになった。

 Samsung Electronics社によれば,相変化メモリの利用によって必要なDRAM搭載量を減らすことが可能となり,携帯機器の電池寿命を20%以上延ばせるという。相変化メモリにはこうした利点に加え,原理的に微細化に対応しやすいという強みもある。相変化メモリは構成材料が結晶状態かアモルファス状態かで「0」「1」を区別するため,原理的に5nm世代でも動作するとの見方がある。

 ただし,相変化メモリは製造コストの点で,同じ世代の製造技術を使うフラッシュ・メモリに及ばない。1ビット当たりのセル面積がフラッシュ・メモリよりもわずかに大きいためである。

相変化メモリの動作原理。相変化メモリは,ヒーターのジュール加熱によってGST(GeSbTe)膜の結晶状態を制御することで,「0」「1」のデータを記憶する。
相変化メモリの動作原理。相変化メモリは,ヒーターのジュール加熱によってGST(GeSbTe)膜の結晶状態を制御することで,「0」「1」のデータを記憶する。
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