赤外線を利用した近距離のデータ通信を行う仕様を策定する業界団体(ホームページはこちら),または同団体が定めた赤外線通信の規格。赤外線は直進性(指向性)が強くユーザーによる位置合わせが必要なため,従来は使い勝手が悪いとされていた。ところが決済,個人情報の送信といった用途ではこれがプラスに作用する。ユーザーが自らの意思でIrDAポート同士を向かい合わせなければ処理が行えないため,電波を使う方式に比べて安全性やユーザーの安心感を得やすいためである。
IrDAは,データ通信速度に応じて4つの仕様がある。最大115kビット/秒のSIR,同1Mビット/秒のMIR,同4Mビット/秒のFIR,同16Mビット/秒のVFIRである。Ver1.0はSIR,Ver1.1がMIRとFIR,Ver1.4がVFIRに相当する。これらは通信距離を1mとしているが,通信距離を20cmとした省電力の規格もある。Ver1.2がSIR,Ver1.3がMIR,FIRに対応する。そのほか,主要なIrDA関連の仕様は次の通り。
▲IrFM(Infrared Financial Messaging)
IrDAを使った決済に向けたプロファイル。セッションが途切れたときの復旧手順などをOBEXに追加した「IrFM OBEX」を定めている。IrFMを構成するIrFM CIP Subsystemは,クレジット・カード用ICカードの国際標準規格「EMV」に準拠する。
▲IrMC(Infrared Mobile Communication)
携帯電話機を利用したデータ交換向けの仕様。オブジェクト交換プロトコル(OBEX:Object Exchange Protocol)によりセッションを確立し電話番号やブックマークなどのデータ(オブジェクトと呼ぶ)を送受信する。
▲IrBurst
100Mビット/秒といった高速伝送を実現して,一瞬のうちに大容量のコンテンツを送る用途を想定して検討中。
▲IrSC(Infrared Simple Connect)
データや画像の伝送に向けて最も効率良いコネクションを実行するプロトコロルとして検討中のもの。プロジェクタやセットトップ・ボックス,フラット・パネルを搭載するテレビなどへの展開を想定する。
▲IrTM(Infrared Travel Mobility)
自動車向けに検討中のもので,例えば料金の支払いといった用途を想定する。