near field communication

 ソニーとオランダRoyal Philips Electronics社が共同開発した非接触ICカードと同じ13.56MHz帯を使う近距離無線通信技術。国際標準「ISO/IEC IS 18092」として承認されている。通信距離は10cm前後(電池を搭載しないパッシブ型で10cm以下,電池を搭載するアクティブ型では20cm以下)。データ伝送速度は,106kビット/秒,212kビット/秒,424kビット/秒の3種類から選択できる。

 NFCは近距離通信技術の中で最後発であり,通信速度は高くなく,通信距離も短い。しかし,急激に普及しつつある非接触ICカードと通信できるため注目を集めている。具体的には,ソニーの非接触ICカード方式「FeliCa」と,欧米地域で普及しつつあるPhilips社の方式「Mifare」の両方に対し,通信の物理層において互換性を持つ(図)。例えばNFC対応の送受信器を備えた機器は,FeliCa方式を採用しているJR東日本の「Suica」や,ビットワレットのプリペイド電子マネー「Edy」とデータをやりとりできるようになる。SuicaやEdyのユーザー数が増えるにつれて,カードの残高を確認できる携帯電話機や,インターネットで購入した商品の代金をEdyで支払えるパソコンなどに対するニーズの増大が期待できる。

 もう1つ強みは,送受信器の価格を当初から低く抑えられることである。部品の一部を,出荷実績のあるFeliCaやMifare向け部品と共用できるためである。

「Mifare」「FeliCa」と互換性があるNFC
図 「Mifare」「FeliCa」と互換性があるNFC
NFCの通信プロトコルは,Philips社のMifareやソニーのFeliCaのプロトコルを包含する。(2004年7月19日号より抜粋)