Value Engineering

 製品やサービスの「価値(Value,V)」を,それが果たすべき「機能(Function,F)」とそのためにかける「コスト(Cost,C)」との関係で把握し,その価値を高めるための手法。1947年に米GE社のL. D. Miles氏により開発され,日本では1960年ごろに導入された。

 製造業においては,IE(インダストリアル・エンジニアリング),QC(品質管理)と共に,3大管理技術とも呼ばれている。ただし,IE,QCがどちらかというと問題点というマイナスを解消するのに比べて,VEは理想像に向かってプラス方向のネタを扱う点が大きく異なる。

 VEでは,V,F,Cの関係を
   V=F/C
という式で表し,Vをより高くすることを目標とする。Vを上げるパターンは,
(1)FはそのままでCを下げる
(2)CはそのままでFを上げる
(3)Cを下げてFを上げる
(4)Cを上げるがFをそれ以上に上げる
の四つに分けられる。

 Fを下げるがCをそれ以上に下げてVを上げるという考えもある。しかしVEでは,機能が下がれば別製品として捉えるため,このような考えは取り上げない。

 日本バリュー・エンジニアリング協会によれば,VEは(1)対象の選定(2)対象品に対する機能の定義(3)機能の評価(4)アイデアの発想(5)アイデアの具体化(6)提案(7)実施—の7ステップで進めることを基本としている。この7ステップを発展させることは可能だが,各ステップの省略は避けるべきこととされている。

 具体的には,まず何を対象テーマにするかを,改善の可能性(制約条件の少ないものや定められた期間に結論の出るものなど)と効果(コスト低減効果が期待できるものや品質向上が期待できるものなど)の両面を考慮して決める。この時,対象テーマに応じて適任者を選んでチームを編成する。

 次に機能の評価を容易にするとともにアイデアを出しやすくするようにあらゆる情報を収集し,機能を明確にする。この時,3次元図のようなものの収集も有効だ。

 続いて機能を評価するために,機能達成にかかっている現状コストを調べると共に,その機能のあるべきコストを求める。あるべきコストを定めるのは非常に難しいが,他の機能との比較や経験などによって定める。

 機能をコストとして定めることにより,前述したように価値が数値化される。ここで価値の低いものの方が,改善の可能性が高いことが分かる。

 アイデアの発想においては,特に価値の低い機能に対してアイデアを出していく。現状にこだわらずにアイデアを出し,それらのアイデアを練り直したり組み合わせたりしながら,アイデアを具体化していく。チームで具体化したアイデアは改善が受け入れられるように提案,実施につなげていく。

 VEは活動を行うタイミングの違いにより,企画の段階のVEを「0 Look VE」,設計の段階のVEを「1st Look(ファーストルック)VE」,製品ができている段階のVEを「2nd Look(セカンドルック)VE」と呼ぶ。当然,上流工程で改善を行う方が,制約条件が少ない分,改善の度合いが大きい。VEにより劇的な効果を上げたいのなら,0 Look VEを実施する必要がある。

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