2014年11月に開催した日経BP社主催セミナー「半導体ストレージサミット2014~エンタープライズ分野の主役に躍り出たフラッシュメモリー~」から、日本IBM システム製品事業本部 ストレージセールス事業部 ソリューション部長/システムズ&テクノロジー・エバンジェリストである佐野 正和氏の講演を、日経BP半導体リサーチがまとめた。最終回となる今回は、日本IBMのオールフラッシュストレージであるIBM FlashSystemsの導入効果や利用事例を紹介する。(日経BP半導体リサーチ)

 ここからは、IBM FlashSystemが、どのように利用されているかを紹介する。HDDを主体とする従来のストレージ機器の採用目的は「容量が欲しい」「速度が欲しい」というものだった。これに対して、IBM FlashSystemのようなフラッシュの採用目的は、「ビジネスを加速したい」「速度が企業の武器になる」というものである。

フラッシュ導入でデータベースのチューニングが不要になる

 データベースサーバーのディスクをIBM FlashSystemにリプレースした事例では、処理速度が10倍速くなった。それ以上に採用動機として大きいのが、データベースのチューニングを専門家に依頼せずに、ハードウエアで高速化を実現できることである。小さな企業でも数個、大企業になると下手すると1000個以上のデータベースが存在するため、例えば、Oracleの専門家にそれぞれのチューニングを依頼すると、結果として、非常に高額になる。IBM FlashSystemならば、基本的に初期投資だけで高速化できる。

[画像のクリックで拡大表示]

 もう1つ別の観点もある。大型のホストコンピューターは一般に、I/O(入出力)処理をCPUではなくチャネルという専用プロセッサーが処理しているため、CPUタイムはI/O処理を何度行っても増えない。だが、UNIXやWindowsのオープン系アーキテクチャーはI/Oを含めすべてをCPUで処理しており、I/O要求が発生するとその待ち時間をI/O waitという形でCPUタイムを消費している。