2014年11月に開催した日経BP社主催セミナー「半導体ストレージサミット2014~エンタープライズ分野の主役に躍り出たフラッシュメモリー~」から、日本サムスン副社長 Memory Enginnering Team, Team Leaderである犬飼 英守氏の講演を、日経BP半導体リサーチがまとめた。今回はSSDとHDDの特徴、および使い分けについて解説する。   (日経BP半導体リサーチ)

 SSDとHHDの違いは非常に明快である。まず、HDDは機械的な信頼性の問題が付きまとう(図4)。それに対して、電気的に動くNANDのSSDは、ハードの故障率という点で優位にある。

図4●SSD Benefits over HDD
図4●SSD Benefits over HDD
出典:日本サムスン講演資料(以下同)
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 次に、パフォーマンスの違いがある。円盤の回転速度を上げることがパフォーマンスの向上につながるHDDには、機械的な限界がある。それに対してNANDでは、大容量化して帯域幅を広げられるというアーキテクチャーにより、性能向上で様々なアプローチを取れる。コストを掛けられるのであれば、大容量のNANDのプレーンをたくさん作り、インターリーブをかければいい。ただし、物理的な制限はあるため、エンデュランスやリテンションという点からはHDDとの1対1の置き換えは期待できない。

 ビッグデータ時代において、リアルタイムでのデータ処理対応は決め手となる。その観点からも、パフォーマンスへの信頼性に優れたSSDは選択に値する。MTBF(平均故障間隔)はHDDの120万時間に対して、SSDは200万時間以上である。消費電力や速度という点でもSSDが優れている。

 我々は3~4年前から「グリーンメモリー」を提唱している。サーバーでもストレージでも、メモリーや電源というシステムコスト、メンテナンスや運用に掛かるコストなどすべてを含めたTCO(総所有コスト)で考えると、最先端のDRAMやSSDを使うことが結局、圧倒的にコスト削減に寄与する。