2014年11月に開催した日経BP社主催セミナー「半導体ストレージサミット2014~エンタープライズ分野の主役に躍り出たフラッシュメモリー~」から、日本サムスン副社長 Memory Enginnering Team, Team Leaderである犬飼 英守氏の講演を、日経BP半導体リサーチがまとめた。今回から3回にわたって紹介する。
                  (日経BP半導体リサーチ)

 代表的な記憶素子にはDRAM、SRAM、フラッシュがある。このうちフラッシュは、システムライクかつソフトウエアオリエンテッドなメモリーであり、不良ビットを使いこなす必要がある。

 DRAMメモリーの記憶密度は現在4G~8Gビットだが、NANDでは128Gビットが既に使われている。我々は、2015年中に256GビットのNANDフラッシュを生産し、それを高容量のSSDに使っていく予定だ。HDDは不良ビットをハードウエア的にマスキングするが、より大容量のNANDでは一番の欠陥であるエンデュランスとデータリテンションをソフトウエア的にいかにマネジメントするかが、使いこなすためのポイントになる。

需要が拡大するストレージと市場の動き

 情報システムの歴史の流れを考えると、まずメインフレームというクローズドな時代から、パソコンなどオープンアーキテクチャーの時代になった。それからネットドリブンの時代になり、今はストレージとサーバーが一体となったトータルシステムでネットをいかにうまく使っていくかが重要になっている。その中で、非常に大きなデータを処理しましょうというのがビッグデータであり、すべてのものをセンサーを通じて結び付けるIoT(Internet of Things)の時代に入ろうとしている。ここではワイアレスネットワークでモバイルデバイスによる情報のやり取りが増えている。

 人間が生み出すデータは、2018年には190E(エクサ)バイトまで増えると予想されている(図1)。そのうち大きな容量を占めるのは、グラフィックスデータだ。メールのように小さなテキストデータから、非常に大きなグラフィックスのデータまでを、ネットでやり取りする時代になった。トラフィックが増えるのは当然である。

図1●Mobile Data Traffice Growth
図1●Mobile Data Traffic Growth
出典:日本サムスン講演資料(以下同)