2014年11月に開催した日経BP社主催セミナー「半導体ストレージサミット2014~エンタープライズ分野の主役に躍り出たフラッシュメモリー~」から、テックバイザージェイピーのチーフコンサルタントである栗原潔氏氏の講演を、日経BP半導体リサーチがまとめた。最終回となる今回はフラッシュ技術採用時に考慮すべきストレージ階層構成などを解説する。(日経BP半導体リサーチ)

 ストレージ階層は、以前はDRAM、SAS/SATA HDD、テープだった(図8)。テープはあまり表に出てこないが、市場としては確実にある。むしろ出荷高は伸びているという話もあり、今後もなくなることはないだろう。そこに、これからはフラッシュが入ってくる。

図8●これからのストレージ階層
図8●伝統的なストレージ階層
出典:テックバイザージェイピー(以下同)

 その際、フラッシュも速度の違いによって階層管理する必要がある。DRAMに代わる不揮発性メモリーも出てくるので、その扱いも課題となる(図9)。加えて「Amazon Glacier」といったクラウドアーカイブをストレージ階層の中でどのように管理していくかということもある。適材適所で使えるという点からはメリットがあるが、階層管理をどのように行うかという点ではなかなか悩ましい存在ではある。

図9●これからのストレージ階層
図9●これからのストレージ階層

 自動階層管理、すなわちAST(automated storage tiering)はこれまで以上に重要になってくる。ただ、いろんな話を聞くと、カタログ上はホットデータは高速ストレージ、コールドデータは遅いストレージに自動的に配置して最適化してくれるなどいい話ばかりだが、実際には難しいようだ。最大の問題は、ストレージごとのポリシーをユーザーが定義しなければならず、かつ、それが必ずしも簡単ではないことである。

 例えば米NetApp社のように、全部キャッシュにおけば、あとは自動配置しますから階層管理は気にしなくていいというベンダーもある。ただ、キャッシュに合わないワークロードもあるし、ユーザーによっては「このデータは絶対にフラッシュに置いておきたい」というケースもある。このへんをどう折り合いを付けるべきなのか、私としてもリサーチしているところだ。