2014年3月に開催した日経BP社主催セミナー「世界半導体サミット@東京 ~IoT時代の半導体成長戦略~」から、ルネサス エレクトロニクス 執行役員常務 大村隆司氏の講演を日経BP半導体リサーチがまとめた。今回から3回にわたって紹介する。(日経BP半導体リサーチ)

_______________________________________________________________________________

 IoT(internet of things)の中でさまざまなサービスやビジネスチャンスを生んでいくために、我々は「制御とITの融合」を大きなメッセージとして据えている。これを大きく三つのテーマから述べたい。

 まず、IoTとルネサス エレクトロニクスがどのように関わっているか。次に、IoT市場の三つの波と題して、我々がどのようにIoT市場を見ているかを紹介する。最後に、我々が考える、IoT社会における賢いクルマについて説明したい。

IoT市場とルネサスの貢献


 米Cisco Internet Business Solutions Group(IBSG)の調査によると、インターネットに接続されるデバイス数は2003年に5億台、2010年に125億台であり、2020年には500億台に達するという(図1)。これは世界人口で一人当たり約7台であり、それだけインターネットに接する機会が増えていることが分かる。

図1 IoT市場の到来
[画像のクリックで拡大表示]

 一方、米Garner社は、IoTの年間市場規模が、現在の30兆円から、一気に200兆円になると予想している(図2)。市場も、製造、ヘルスケア、保険、セキュリティーなど、さまざまなビジネスチャンスがこれから生まれるとしており、我々もそれに貢献していきたい。

図2 IoTの市場規模
[画像のクリックで拡大表示]

 IoTといえば、データトラフィックは爆発的な増大を続けている。米Cisco Systems社のVisual Networking Index(VNI)によると、増加量は5年で45倍のペースで拡大し、2018年には907P(ペタ)バイトになるとうたっている。

 それらのデータを制御するのはマイコンである。IoTの情報は小さなセンシングデータだが、それがクラウドに上がったり、いろいろな通信媒体に展開されたりする。そこで重要なのは、インテリジェント化すること、低電力でネットワークにつなぐこと、そしてデータを守ることであり、マイコンはそういった役割を担っている。

 ルネサス エレクトロニクスのマイコンは世界で使われている。世界中のユーザーのニーズを捉えながら、IoTにかかわるこうした小さなデータをうまく使っていきたい。すなわち、インテリジェント、低電力、セキュリティーという面で役立つものを提供していく考えだ。東日本大震災の経験を踏まえ、安全・安心・快適で環境に優しい、今後のIoT時代を支えるソリューションの提供を目指す(図3)。

図3 IoT社会におけるルネサスの貢献
[画像のクリックで拡大表示]