現行のSiに続く、パワー半導体素子(以下、パワー素子)の次世代材料として注目を集めるSiCとGaN。いずれも製品化が始まっており、耐圧600V以上はSiC、600V以下はGaNとされている。だが、この“常識”が覆される可能性が高まった。2011年春、国内のベンチャー企業であるパウデックが、耐圧1.1kVで、かつ低コストで製造できるというGaN系パワー・トランジスタの試作に成功したからである(図1、2)。これで、高耐圧品が求められる用途で、次世代パワー素子の選択肢の幅が広がる可能性が出てきた。
GaN系パワー素子の研究開発品の中には、耐圧1kV超を実現したものもあった。だが、特殊な構造をしていたり、高価なGaN基板を利用していたりと実用化が難しかった。