竣工した「市営柳の目東住宅」(出所:積水ハウス)
竣工した「市営柳の目東住宅」(出所:積水ハウス)
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調整池に設置した出力400kWの太陽光パネル(出所:積水ハウス)
調整池に設置した出力400kWの太陽光パネル(出所:積水ハウス)
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集会所に設置した10kWの太陽光パネル(出所:積水ハウス)
集会所に設置した10kWの太陽光パネル(出所:積水ハウス)
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 積水ハウスは8月7日、宮城県東松島市と同社が、連携して進めてきた「市営柳の目東住宅」(工事名称:柳の目 北地区災害公営住宅)が竣工し、8月8日から住民の入居が始まったと発表した。同住宅地では、合計出力470kWの太陽光発電など導入したマイクログリッドを構築する「東松島スマート防災エコタウン」事業を進めている。2016年3月に稼働する予定だ(関連記事)。

 「東松島スマート防災エコタウン」では、「市営柳の目東住宅」(戸建住宅70戸、集合住宅15戸)と周辺の病院、公共施設 などを自営線で結んだマイクログリッドを構築する。マイクログリッド内には、調整池に出力400kW、集合住宅15戸に60kW、集会所に10kWの太陽光パネルを設置する。このほか、容量500kWhの蓄電池、定格出力500kWの非常用バイオディーゼル発電機を導入する。

 マイクログリッドの運営は、自営線を所有する新電力が担う。こうした事業者を「自営線特定規模電気事業者(自営線PPS)」と呼ぶ。「東松島スマート防災エコタウン」の自営線PPSの場合、タウン内にある太陽光発電所の電気を優先的に供給しつつ、タウン外の発電所などからベース電力などを調達し、一括受電して自営線で供給する。

 地域エネルギー管理システム(CEMS)を構築し、需給バランスを最適制御しながら電力を供給する。太陽光の余剰は、蓄電池に充電する。太陽光で不足する電力は、東松島市内にある低炭素型電源から既存の電力網を利用して供給するという。

 系統電力が停電した場合、タウン系統内の太陽光と蓄電池を用いて安定化させ、大型のバイオディーゼル発電機と組み合わせることで、3日間通常レベルの電力供給が可能になる。自営線を導入することで、通常時は託送料の負担が軽減され、災害時は、既存の系統網が停電しても、タウン内には独自に電力を供給できる。

 東松島市は、「復興まちづくり計画リーディングプロジェクト」において、分散型地域エネルギー自立都市を掲げており、2011年12月には「環境未来都市」(全国11都市)に選定された。この事業は、復興まちづくり計画、環境未来都市構想の一環として、環境省の補助金を受けたもの。低炭素社会創出促進協会が実施している「自立・ 分散型低炭素エネルギー社会構築推進事業」で、エネルギーの地産地消・防災力向上の先導的な取り組みとなる。