会見に臨むオレンジアクト理事長の高瀬氏(右)と同事務局長の倉橋絢也氏(左)
会見に臨むオレンジアクト理事長の高瀬氏(右)と同事務局長の倉橋絢也氏(左)
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「感度93.9%、特異度82.1%で認知症の疑いがチェックできる」と説明
「感度93.9%、特異度82.1%で認知症の疑いがチェックできる」と説明
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 NPO法人のオレンジアクトは2015年8月5日、厚生労働省内で記者会見を実施し、「客観式認知症疑いチェックアプリ」の無料配信を同6日に開始すると発表した。認知症の疑いの有無を、第3者が4つの質問に答えるだけでチェックできるアプリである。

 今回のアプリは、オレンジアクトの理事長でもある医師の高瀬義昌氏と、東京大学 特任助教の五十嵐中氏が中心に企画・研究・開発を行ったもの。基礎となるデータは、高瀬氏が所属する蒲田医師会など東京都の大田区3医師会の研究事業で収集した情報を活用した。

 具体的には、大田区3医師会のメンバーにより15項目の「認知症が疑われる行動」を特定。その上で、検診の場で疑い行動の有無と認知機能評価に汎用的に用いられるスケールである「改訂 長谷川式簡易知能評価スケール(HDS-R)」との関係を評価し、判定アルゴリズムを開発した。

 アプリは質問形式で、第3者が認知症の疑いのある対象者の情報や様子を回答していくことで「感度93.9%、特異度82.1%で認知症の疑いがチェックできる」(オレンジアクト)という。もし「認知症の疑いあり」との結果が出た場合には、今回のアプリと連携している地域医師会の医療機関を検索できる他、連携している自治体と認知症の疑いのある人の情報を共有できる。

 現時点では大田区3医師会のみとの連携となるが、今後その他の地域医師会や自治体にも展開を図り、「10年以内に100カ所以上の自治体に活用してもらう」(オレンジアクト)ことを目指す。なお連携していない地域の場合には、地域包括センターの一覧などを確認できる画面が出てくる。

 一方、「認知症の疑いなし」との結果が出た場合は、自身の意思を残すための任意後見人を探す窓口検索機能を利用できる。単に認知症の疑いがある人を探し出すことだけを狙いとせず、家族などが認知症になった時への備えを啓蒙することが今回のアプリの意義だとした。