ドイツのAudi社は2015年7月6~12日、米カリフォルニア州のソノマレースウエイで自動運転車の試乗体験会を実施した(関連記事1関連記事2関連記事3)。試乗会では同社の自動運転技術について詳しく説明したが、なかでも注目されたのが5ドアセダン「A7」をベースとした愛称「Jack」だ。

図1 高速道路での走行を目的としたAudiの自動運転車「Jack」。
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 Jackは2015年1月に、サンフランシスコ近郊のベルモント市にあるVolkswagen グループの開発拠点、ERL(Electronics Research Lab)から、ラスベガスで開催中のCES(Consumer Electronics Show)会場まで、566マイル(約906km)を自動運転で走破したクルマ。運転席には米国人のジャーナリスト数人が交代で座り、自らの体験をそれぞれの媒体で紹介した。なおJackとは、カジノの街ラスベガスまでの完走を祈って、カジノ用語で大当たりを示す「Jackpot」にちなんだ名称だ。

 この試乗会では、CESでは未公開だったJackの車内や後部トランク内部の様子を確認することができた。運転席まわりの変更で特に注力したのがHMI(Human Machine Interface)だという。具体的には、ステアリングに自動運転モードとマニュアルモードの切り替えスイッチが設置され、ダッシュボード中央のディスプレイには自動運転専用の画面が表示される。自動運転モードの状況を音声によって説明する機能があり、ダッシュボードの上部全体が自動走行時は緑色に、自動運転を解除した際には薄い赤色に変わる。

図2 ダッシュボードの上部は自動運転モードでは緑色、自動運転を解除して走行停止する際には薄い赤色に光る。
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 Audi社によるとJackの走行モードは、1)自動運転の開始時期を通知するマニュアルドライビングモード、2)自動運転への切り替え可能状態のマニュアルドライビングモード、3)自動運転が作動中のモード、4)自動運転の解除をドライバーに予告しているモード、の四つだ。それらをダッシュボード中央の画面で、図表の一部を色分けして表示する。自動運転モードでは、ステアリング、アクセル、ブレーキを制御し、前方走行車を追い抜く場合、車線変更にも対応する。

図3 四つの走行モードを説明するスライド
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