なぜ高精度な3次元地図が必要になるのか

 運転手を支援するADASや将来の完全自動運転では、車載センサーによる認識能力に加えて、道路の構造を把握するための高精度な地図情報が必要になる。1本の線として表されるネットワーク型の地図では走行中の車線や勾配などが分からないからだ。適切に自動車を制御するためには高精度な3次元データが必要になる。

  欧米ではこの高精度地図情報として3次元の点群データが標準になりつつあり、これに対してHEREでは独自の「HD Map」を作成し、販売する計画を立てている。HD Mapの作成では現在、高精度の3次元地図データを測定するために200~250台程度の測量車両を用いている。2015年末頃に米国と西欧州で提供を始める。

 2015年末に販売するHD Mapは、まず簡易なADAS向けのモデルである。その後順次付加情報を加えたモデルを用意しておく。具体的には道路標識や交差点情報などを付加する。さらに将来的にはセンサーを搭載した個々の一般車両から得られたプローブデータをクラウド上に収集し、これをHD Mapに活用することも想定している。スリップしやすい道や急ブレーキをかけがちな交差点などを解析し、配布する。

 なお得られたデータは、HEREのクラウドシステムに直接収集するのではなく、一旦、自動車会社などのOEMが運用するクラウドシステムを介する。クルマから得られる情報をこのOEMクラウドでふるいにかけ、地図作成や車両制御に必要な情報を効率的にHEREのクラウドに集める。