開発したシリコーン封止材を使った単結晶n型シリコン系太陽光パネルのPID試験前後の電気特性:左、EL画像:右(出所:産業技術総合研究所)
開発したシリコーン封止材を使った単結晶n型シリコン系太陽光パネルのPID試験前後の電気特性:左、EL画像:右(出所:産業技術総合研究所)
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 産業技術総合研究所(産総研)6月22日、信越化学工業と共同で、信越化学が新たに開発したシリコーン封止材を使った太陽光パネルの評価試験の結果を発表した。

 産総研の九州センター(佐賀県鳥栖市)における、高温高湿試験や温度サイクル試験によって、優れた耐久性を示したという。

 この封止材を使った単結晶n型シリコン系太陽光パネルの評価試験から、高電圧がかかって出力が大幅に低下してしまうトラブルである、PID(Potential-induced degradation)現象による出力低下を抑制する効果を確認した。今後、単結晶n型シリコン系だけでなく、太陽光パネルの長期信頼性の向上への寄与が期待されるとしている。

 新たな封止材は、従来のシリコーンとは異なり、シート状のため、太陽光パネルの製造工程に導入されている一般的な製造装置で使用できる。

 産総研は、太陽光パネルの劣化メカニズムの解明や、長期信頼性に優れた関連材料の開発を目的に、2009年10月に「高信頼性太陽電池モジュール開発・評価コンソーシアム」を設立し、企業などと連携して2014年3月まで研究開発に取り組んできた。

 信越化学は、2012年1月~2014年3月に同コンソーシアムに参画し、シリコーン封止材を研究開発してきたほか、2014年4月~2015年4月には、産総研の九州センターで、開発したシリコーン封止材を使った実用サイズのパネルの信頼性を評価した。