医療用医薬品や医療機器を販売するMSDは2015年6月22日、国立研究開発法人国立がん研究センターと「SCRUM-Japan(Cancer Genome Screening Project for Individualized Medicine in Japan:産学連携全国がんゲノムスクリーニング)」に基づく遺伝子変異スクリーニングに関する共同研究契約を締結した。

 SCRUM-Japanは、国立がん研究センターが全国の医療機関や製薬企業と協力して実施するがん遺伝子異常スクリーニング事業。一人ひとりのがん患者に最適な医療を提供することを目的とする。

 大規模な遺伝子異常のスクリーニングを行うことで、希少頻度の遺伝子異常を持つがん患者を見つけ出し、遺伝子解析の結果に基づいた有効な治療薬を届けることが可能となる。患者は対応する治療薬の臨床試験に参加できる可能性があり、新たな治療の機会が得られるという。

 患者の遺伝子情報と診療情報は治療選択の参考とされるほか、匿名化処理された後にデータベースに登録され、新たながん診断や治療薬の研究開発のために二次利用される。全国規模で構築される遺伝子・臨床情報のデータベースを活用することで、個別のがん患者に最適な治療薬の開発が期待される。

 このほか、複数の遺伝子異常が同時に検出できるマルチプレックス診断薬を臨床応用する予定。MSDはSCRUM-Japanへの参加を通じて、がん領域における研究・開発の推進を目指すとしている。