親会社のAES社の出力20MWのエネルギー貯蔵システムの例(出所:AES社)
親会社のAES社の出力20MWのエネルギー貯蔵システムの例(出所:AES社)
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 米国の配電事業者であるIndianapolis Power & Light(IPL)社は6月4日、電力網向けのエネルギー貯蔵システムを開発すると発表した。

 蓄電池を使い、出力20MWのエネルギー貯蔵システムを構築する。柔軟に運用できる出力40MWの電源(flexible resource)に相当する需給調整効果を得られるという。

 導入するエネルギー貯蔵システムは、太陽光発電の大量導入などに伴う、出力変動などを吸収できる。IPL社は、電力網の信頼性の向上や、需要のピーク時の対応策などのアンシラリーサービス(周波数制御などの系統運用関連サービス)にも使う。

 アンシラリーサービスは、米国中西部の独立系統運用機関(ISO)であるMidcontinent Independent System Operator(MISO)に対して供給する。MISOにとって、エネルギー貯蔵システムを使った初めてのサービスになるという。IPL社は、MISOを活用して配電している。

 IPL社では、需給バランスの最適化に寄与して、電力網を安定化できるだけでなく、同社の顧客にとって、電力料金の削減にもつながると強調している。

 インディアナ州の首都圏開発委員会(Metropolitan Development Commission)は、IPL社に対して、マリオン郡への蓄電設備の投資に関して、10年間、課税額を削減することを承認した。これによって、IPL社の顧客にとって、電力料金が合計で約310万米ドル削減されるのに相当するコスト削減効果があるという。

 2015年夏に施工を開始し、2016年6月に稼働を開始する予定とする。インディアナ州の南西部にある、IPL社の石炭・石油火力発電所「Harding Street Generation Station」に設置する。

 IPL社は、電力網向けのエネルギー貯蔵システムの大手である、米AES社の子会社である。AES社がエネルギー貯蔵システムを担当する案件として、全世界で合計出力86MWのエネルギー貯蔵プロジェクトが稼働済みなほか、合計260MWが施工中、または開発後期となっている。