図1●直接エッチングを使ってパターニングしたCu配線のTEM像。Cu配線はSi窒化膜で封止している(写真:IMEC)
図1●直接エッチングを使ってパターニングしたCu配線のTEM像。Cu配線はSi窒化膜で封止している(写真:IMEC)
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図2●パラジウム/タングステン(Pd/W)底の28nm径のホール(アスペクト比4.5)上に無電解メッキで堆積させたCo。左から順に、堆積途中、理想的な堆積、過剰堆積状態(写真:IMEC)
図2●パラジウム/タングステン(Pd/W)底の28nm径のホール(アスペクト比4.5)上に無電解メッキで堆積させたCo。左から順に、堆積途中、理想的な堆積、過剰堆積状態(写真:IMEC)
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 ベルギーIMECは、東京エレクトロンおよび米Lam Research社とそれぞれ、7nm世代以降の論理LSIおよびメモリーに向けた配線技術を検討。「IEEE 2015 International Interconnect Technology Conference(IITC)」(2015年5月18~21日、フランス・グルノーブル)でその結果を発表した。

 IMECが東京エレクトロンと共同開発したのは、広く普及している銅(Cu)配線のダマシンプロセスに代わり得る、Cu配線を直接エッチングによってパターニングする手法である(関連リリース)。これにより、配線抵抗と信頼性の課題を解決できる可能性を示した。

Cu配線を直接エッチングでパターニング

 最先端のデバイスでは、ダマシンで形成したCu配線を用いるが、トレンチ幅によって結晶粒径が制限されるために、結晶粒界の増加に起因する表面散乱によって配線抵抗が大きく上昇してしまう。また、結晶粒界の増加によってエレクトロマイグレーションが促進され、配線内のCuの体積が減少して信頼性が低下するという課題がある。

 IMECと東京エレクトロンはかねて、従来のCuダマシンプロセスの置き換えに向けて、直接エッチングでCu配線をパターニングする手法の基礎検討を進めてきた(図1)。今回、二つの点で優位性を明らかにしたという。第1に、直接エッチングを用いることで結晶粒径を大きくし、配線抵抗を低減できる。第2に、エッチング後に大気暴露なくSi窒化膜で封止することによってCuの酸化を抑制でき、Cu/Si窒化膜が電気的界面となることでエレクトロマイグレーションを抑えられる。