米Altera社が、ついに自社開発の高位合成ツールを投入する。

 日本時間の2015年5月12日、同社は開発ツール「Quartus II」の新エンジン「Spectra-Q」を発表(発表資料)。高位合成機能や複数サーバーでの分散並列コンパイルなど、大幅な機能強化を施した。

 Altera社がQuartus IIのエンジンにこうした名称を冠するのは初めてという。Spectra-Qの各機能は、同日に公開したQuartus IIのv15.0において早期アクセス・プログラムに参加することで利用できるようになる。

 Spectra-Qの特徴は主に4つ。(1)高位合成機能の導入、(2)複数サーバーでの分散コンパイルなどによるコンパイル時間の短縮、(3)配置配線(コンパイル)結果を事前に考慮したピンアサインを行えるようにする「BluePrint」機能、(4)階層型データベースの採用によるインクリメンタルなコンパイルの実現、である。

 Spectra-Qの機能は、基本的には同社の第10世代のFPGAである「Arria 10」および「Stratix 10」向けである。一部の機能はArria Vなど旧世代のFPGA向けの設計でも利用できるが、BluePrint機能などは第10世代のデバイスのみで利用できる。

HLSは1年ほど前から開発

 (1)について、高位合成(HLS)機能の名称は「A++ Compiler for HLS」である。C/C++での合成が可能である。同社独自のディレクティブを利用して記述する。Altera社が自社開発の高位合成ツールを投入するとの噂は以前からあったが、それが今回、正式に発表になった形だ。1年ほど前から開発に着手したという。

 競合の米Xilinx社はHLSツール「Vivado HLS」をまず先に投入し、その後でOpenCLに対応するという流れだったが、Altera社はその逆で、まずOpenCLツールを投入し、今回、ようやくHLSツールを投入した形だ。