パネルディスカッション。右端はGoogle社のVos氏、左から二人目がCyPhy Works社のGreiner氏
パネルディスカッション。右端はGoogle社のVos氏、左から二人目がCyPhy Works社のGreiner氏
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併催された「Drone Comm 2015」のパネルディスカッション
併催された「Drone Comm 2015」のパネルディスカッション
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 日本でも近年、注目が高まっているドローン。その成長分野について欧米のベンチャー企業はどのように考えているのだろうか。世界最大級の無人飛行体(UAS:Unmanned Aircraft Systems)に関するシンポジウム「AUVSI’s Unmanned System 2015」(2015年5月4~7日、アトランタ)で、パネルディスカッション、プレゼンテーション、併催展示会場で彼らの声を拾ってみた。

 まず、メインステージでのパネルディスカッションに登場した注目の2社から紹介する。CyPhy Works社のCEO、Helen Greiner氏は「当然、軍需が最大だ」と言い切った。彼女は自動掃除機「Roomba(ルンバ)」で成功したiRobot社の共同創業者の一人。同社のPresidentとChairmanを歴任した後、ドローンを中核とするCyPhy Works社を立ち上げた。同社は「Drone for everyone」をうたい文句に、カメラを搭載した小型ドローンの開発を進めている。その上で「販売量ではホビー分野を含む民生用が伸びるが、販売額では軍需の方が大きい状況が続く」と同社の中長期的な経営戦略について語った。同社の資料を見ると、すでに米国陸軍や海兵隊などとの取引があり、ドローン本体よりも制御システムの開発に重きを置いているように思える。

 一方、同じステージに立ったGoogle社のDave Vos氏は「農業分野での事業が順調に拡大する」という。同氏はGoogle社の次世代技術開発プロジェクト、Google X・Project Wingのリーダー。Vos氏は南アフリカの出身で、子供のころから飛行体への興味が強く、米MITで航空宇宙工学を学び、飛行体の制御の研究に従事した。その後、ベンチャーのAthena Technologies社を創業したが、2008年に航空産業大手のRockwell Collins社に買収されると同社の幹部となった。こうした経歴を評価したGoogleが、2012年後半に設置して以来、事業化の目途がなかなか立たないProject Wingの指揮官としてヘッドハンティングしたのだ。現在、Project Wingの飛行実験はオーストラリアのクイーンズランド州で行っているが、同氏のドローン事業のイメージも、アフリカ大陸のような広大な農地や牧場での利活用だと思われる。