東京工業大学 大学院理工学研究科 教授の松澤昭氏は、同大学で進められている教育改革について講演した。この講演は、2015年4月17日に開催された「第2回LTspiceユーザーの集い」の基調講演として行われた。

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 現在、同大学では2016年4月に向けて、学長を務める三島良直氏の指揮の下、教育改革を進めている。具体的には、カリキュラムや教育体制/手法、組織を刷新する考えだ。それではなぜ、このタイミングで改革に取り組んだのか。松澤氏は、「そのモチベーションは、グローバル化にある。奨学金の給付を約束しても、優秀な学生が欧米の大学に奪われてしまうケースがある。こういった状況が続けば、最終的に(日本の大学の)研究の成果や内容に悪影響が出てしまう。この問題を解決するには、国際的な大学として評価を高める必要がある」と説明する。

 今回の教育改革では、大きく3つの方向から取り組む。1つめは、教育システムの刷新である。具体的には、学部と大学院を連結させた「学院」を構成し、一貫した教育体系を作る。「米国のMIT(Massachusetts Institute of Technology)などではすでに実現しているが、日本の大学では初めて」(同氏)という。