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 鉄道総合技術研究所は、超電導フライホイール蓄電システムの試験運転の様子を、2015年4月15日に報道陣に公開した。

 太陽光や風力といった再生可能エネルギーの不安定な出力を安定化する用途などを想定しており、試験運転を経て2015年夏にメガソーラー(山梨県米倉山)での実験を開始する。

 フライホイール蓄電システムは、大型の円盤(フライホイール)をモーターで回して、電力を運動エネルギーとして貯蔵するシステムである。今回のシステムでは、直径2m、重さ4トンの炭素繊維強化プラスチック(CFRP)製のフライホイールを、最高6000rpmで回し、出力300kW、蓄電容量100kWhの実現を目指す。

超電導フライホイール蓄電システムの起動

 直径2mのフライホイールは世界最大という。クボテックが炭素繊維の織り方を工夫することで、強度を高めて実現した。
 フライホイールを収納する真空容器は、ミラプロが製造した。金属容器の厚さが50mmと厚く、熱容量が大きいため、溶接時のひずみを防ぐのが難しかったという。
 回転軸と軸受けには、低損失で長寿命を目指して超電導材を採用した。軸受け部分には、古河電気工業のイットリウム系高温超電導線材を用いており、試験運転時は冷凍機で18K程度に冷やしていた。

CFRP製フライホイールの実験の様子

 試験運転は、企業の実験施設で実施している。2015年3月31日に超電導材の冷却が完了し、4月1日にフライホイールを浮上させ、報道陣への公開前日の4月14日に動かし始めたという。

 メガソーラーに設置する際には、不具合が発生した場合に備えて、コンクリート製の防御壁の内側に設置する。実験施設で実施する試験運転では、安全面を考慮して回転数を100rpm程度までしか高めない予定である。今回の試験運転でも、非常にゆっくりとした速度で回転させていた。

超電導フライホイール蓄電システムの回転状態