図1●シャープの向井和司常務執行役員 エネルギーシステムソリューション事業本部長(撮影:日経BP)
[画像のクリックで拡大表示]

 シャープは3月30日、太陽光発電関連事業の今後の戦略を明らかにするとともに、大阪府堺市にある太陽電池工場を公開した。

 同社は2015年3月期の太陽電池事業の業績見通しを、当初予想の30億円の黒字から、50億円の赤字に修正し、直近の4期のうち3期が赤字となり、「赤字体質」に陥っていると指摘されている。

 中でも、太陽電池セル(発電素子)の原料であるシリコンの安定調達を目的に結んだ2020年までの長期契約が裏目に出て、高値で調達する状況が続いている。また、海外メーカーからのOEM調達を増やしていることから、為替の円安も収益悪化の要因となった。

 こうした状況から、一部で事業の撤退や縮小、堺工場の売却を模索しているといった報道もあり、動向に注目が集まっていた。

 シャープの向井和司常務執行役員 エネルギーシステムソリューション事業本部長によると、2015年度(2015年4月~2016年3月)は黒字化を見込んでいるという。「シャープの再生の柱の一つであり、今後も継続し、関連事業を拡大していく」(向井常務執行役員)としている(図1)。

 今後の重点分野は大きく二つ。一つは、海外における事業拡大と、もう一つは、メガソーラーのEPC(設計・調達・施工)サービスやO&M(運用・保守)、蓄電池や制御まで含めたシステム販売といったソリューション事業の拡大である。

 太陽光パネル販売にとどまらず、高い収益が見込めるメガソーラーの開発や運用、エネルギー制御システムに軸足を移すことで、事業を安定させていく狙いがある。

 2017年度(2017年4月~2018年3月)には、太陽電池を含むエネルギーシステムソリューション事業における海外の売上比率を現在の約1割から約3割に引き上げる。ソリューション事業の比率も、現在の15~17%から約5割に拡大する。

 海外やソリューション事業の拡大と並行して、海外からの調達や販路の集約や強化によって、サプライチェーンに関するコストを削減する。