小売り全面自由化後の固定価格買取制度(FIT)の基本的なスキーム(出所:経済産業省・買取制度運用ワーキンググループ・配布資料)
小売り全面自由化後の固定価格買取制度(FIT)の基本的なスキーム(出所:経済産業省・買取制度運用ワーキンググループ・配布資料)
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 経済産業省は3月4日、新エネルギー小委員会・買取制度運用ワーキンググループを開催し、電力の小売り全面自由化を前提とした「回避可能費用」の見直しについて、検討を始めた。同会合では、現行ルールから市場連動ベースに変更するとの事務局案が示され、委員全員から、了承された。
 
 回避可能費用が市場連動ベースになった場合、電力事業者が太陽光発電電力を買い取った際に受け取る交付金が現状より減り、調達コストが上がる可能性もある。現在、新電力各社が進めている太陽光電力のプレミア買取(法定価格に上乗せした買い取り)に影響を与えることも予想される。

 現行ルールでは、太陽光、風力など変動性の再生可能エネルギーの回避可能費用は、化石燃料の焚き減らし効果である「火力平均可変費単価」を採用している。固定価格買取制度(FIT)を活用した太陽光発電電力を買い取った電気事業者は、買取費用から回避可能費用などを差し引いた金額(交付金)を費用負担調整機関から受け取る仕組みになっている。

 現行ルールの下では、FITによる太陽光発電電力の調達コストは、卸電力市場の取引価格より安いことが多く、太陽光発電電力を買い取って市場で売るだけで利益を出せる可能性もある。回避可能費用が市場連動ベースになった場合、こうした電力市場を使った売却益は見込みにくくなる。