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 燃料電池車に搭載されている水素ボンベは、アルミニウム合金などの金属製ライナーをカーボンファイバーで覆って強化している。これにより70MPa級という高圧で水素ガスを貯蔵することが可能になった。

 しかしスマートエネルギーWEEK内のFC EXPOで、そんな超高圧ボンベを使わずとも大量の水素を運べる方法に気が付かされたのだ。それは水素吸蔵合金を利用することだ。水素吸蔵合金は、水素を燃料とする内燃機エンジンを自動車メーカーが開発していた頃に話題に上ったことがあるから、聞いたことがあるかもしれない。

 今回、FC-R&Dが水素吸蔵合金のボンベをブースに展示したことで、その存在を思い出させてくれたと同時に、意外なまでのポテンシャルを教えられたのだ。80MPa級の超高圧ボンベよりも、何と極低温下の液体水素よりも、密度が高く貯蔵できるのだそうだ。


 しかも、この貯蔵能力に関しては10年前に技術は確立されていたと言う。常温で水素の出し入れができるようになったことでさらにエネルギー効率は高まっている。

 難点としては低圧ながらボンベ本体は熱伝導のいい金属製にする必要があり、ボンベの内部に水素吸蔵合金が詰まっているので、ボンベ単体が重いということがある。また、一気に大量の水素を取り出すような用途には向いていない。これは燃料電池車の場合、急加速などのシーンでは電力が足りなくなる状況を生む恐れがある。