新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)は2015年2月13日、新材料によるイノベーション実現について議論するパネルディスカッション「材料・ナノテク技術とものづくりの未来研究開発」を実施した。

 東京大学大学院 教授の染谷隆夫氏と千歳科学技術大学 教授の下村政嗣氏、トヨタ自動車 パワーエレクトロニクス開発部 主幹の戸田敬二氏の3人が登壇し、司会はNEDO電子・材料・ナノテクノロジー部 部長の岡田武氏が務めた。同パネルディスカッションは、NEDOが2月12~13日まで東京都千代田区で開催したNEDO FORUMの一環として開催されたものである。

パネルディスカッションを繰り広げる4人。左からNEDOの岡田武部長、トヨタ自動車の戸田敬二主幹、東京大学の染谷隆夫教授、千歳科学技術大学の下村政嗣教授

 東京大学の染谷教授は、2011年3月から始まったNEDOのプロジェクト「次世代プリンテッドエレクトロニクス材料・プロセス基盤技術開発」のプロジェクトリーダーを務めている。同プロジェクトは、フレキシブルな電子回路を印刷手法によって直接描画する手法を用いたデバイスの実現を目指している。

 実際、プロジェクト参加企業26社と産業技術総合研究所は技術組合「次世代プリンテッドエレクトロニクス技術研究組合(JAPERA、茨城県つくば市)に参加し、全印刷プロセスによる一貫生産ラインの実用化を図っている。

 染谷教授は「印刷手法によってフレキシブルな電子回路を製造することは単なるコストダウンだけが狙いではなく、多品種・少量の電子回路を柔軟に製造できる点に着目してほしい」と説明し、「日本の電機・半導体メーカーの新たな競争力の武器として活用される可能性を想定している」と語った。「当面はフレキシブルなディスプレーと照明機器向けでの実用化を図りながら、近未来にはIoT(Internet of Things)用のデバイスを実現したい」(染谷氏)という。