トヨタ自動車は2015年2月3日から九州大学で開催された「水素先端世界フォーラム2015」で、「Fuel Cell Vehicle Development and Initial Market Creation」と題して講演した。発表者は同社の技術統括部担当部長、河合大洋氏(図1)。
講演は、自動車の歴史の振り返りから始まった。民生用の自動車が登場し始めた1900年前後は、蒸気機関自動車や電気自動車、そしてガソリン車が混在していた。それが1920年頃になると、アメリカでの自動車の大量生産が始まり、またガソリンが廉価に供給されるようになりガソリン車の需要が急激に拡大した(図2)。
だが近年は、大気汚染、石油に代表される化石燃料の枯渇、そしてCO2排出による地球温暖化など、自動車を取り巻く様々な問題が露呈してきた。そうしたなかトヨタは、1)ガソリン車の更なる改良、2)効率的で低公害な新型車の開発さらに、3)それら新型車の積極的な普及、という3つの方針を打ち出している。
ここでいう新型車とは、ハイブリッド車、プラグインハイブリッド車、電気自動車、そして燃料電池車を指す。これらを活用したサスティナブル社会の構築では、水素社会の「Hydrogen Grid」と、電気のインフラである「Electricity Grid」の間で、水素と電気の相互変換(コンバージョン)を確立させる。さらに、化石燃料と再生可能エネルギーとの連携を進めることで、さまざまなエネルギー源が活用できる社会を構築する(図3)。