2009年8月に公表した「長期エネルギー需給見通し」での電源構成の推移(出所:経済産業省)
2009年8月に公表した「長期エネルギー需給見通し」での電源構成の推移(出所:経済産業省)
[画像のクリックで拡大表示]

 経済産業省は12月26日、2014年4月に閣議決定した「第4次エネルギー基本計画」の方針に基づき、長期的なエネルギー需給の見通しについて検討するため、「長期エネルギー需給見通し小委員会」を設置すると発表した。「現実的かつバランスの取れたエネルギー需給構造の将来像について検討する」のが目的。総合資源エネルギー調査会・基本政策分科会の下に置く。
 
 また、発電コストの試算を行うため、「発電コスト検証ワーキンググループ」を同小委員会の下に設置する。各電源の発電コストについて、過去の検証結果も踏まえつつ、最新のデータなどを反映して、改めて試算する。

 「長期エネルギー需給見通し小委員会」の委員長には、小松製作所・相談役の坂根正弘氏が就任する。同氏は、2014年7月に総合資源エネルギー調査会の会長に就任し、基本政策分科会の会長も務めている。「発電コスト検証ワーキンググループ」の座長は、地球環境産業技術研究機構理事・研究所長の山地憲治氏が務める。

 「長期エネルギー需給見通し」は、これまで総合資源エネルギー調査会・需給部会が定期的に検討し、15~25年先の中長期的なエネルギー構成や電源構成などをまとめてきた。需給部会は、電力やガス、石油業界の業界団体も委員として加わるなど、エネルギーの専門家とエネルギー業界を中心に検討されてきた傾向がある。民主党政権時代には、閣僚によるエネルギー・環境会議が「革新的エネルギー・環境戦略」を策定したこともあり、需給部会は開催されなかった。

 今回、経産省が、「長期エネルギー需給見通し」を、従来の需給部会でなく、基本政策分科会の下に「小委員会」を設置して検討するのは、エネルギーの利用者である消費者や企業の視点も含め、より幅広い見地から議論する狙いがあるとみられる。

 第4次エネルギー基本計画では、再生可能エネルギーの導入目標を、「電源構成の21%を超える水準」と記載しただけで、将来のエネルギーミックスや電源構成については先送りした経緯がある。ただ、2015年11月30日にパリで開かれる第21回国連気候変動枠組み条約締約国会議(COP21)に提出する2020年以降の温室効果ガスの削減目標や、固定価格買取制度(FIT)の本格的な制度見直しの必要性を検討するうえで、エネルギーミックスの確定が不可欠になっている。