7電力会社が提出した接続可能量と承認済、申込量、認定量(単位:万kW)(出所:経産省の資料を基に日経BP社作成)
7電力会社が提出した接続可能量と承認済、申込量、認定量(単位:万kW)(出所:経産省の資料を基に日経BP社作成)
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 経済産業省は12月17日に開催した総合資源エネルギー調査会・新エネルギー小委員会・系統ワーキンググループ(WG)の第3回会合で、7電力会社が提出した太陽光発電などの接続可能量とその拡大方策の効果を公表した。これは第2回までに討議した算定方法に基づき、7電力会社が算出したもの。

 それによると、九州電力の場合、接続可能量は、太陽光発電・817万kW、風力発電・100万kWとなり、合わせると917万kWとなった。九州電力はこれまで700万kWの再生可能エネルギーの接続を予定し、「これでもかなり挑戦的な接続量」としてきたが、今回の算定によって、200万kW以上を積み増したことになる。

 九州電力による算定の前提は、原子力発電所を6基(玄海1~4号、川内1・2号)で合計出力525.8万kW(設備利用率を加味して出力438.7万kW)をベース電源として運転して出力抑制しないこと、余剰電力の回避手段として、揚水発電を全8台中7台(219万kW)、地域間連系線を13万kWまで活用することなど、現行制度での運用を想定した。

 九州電力は、すでに815万kWの太陽光発電の接続(連系)承諾を出していることから、仮に接続可能量が正式に817万kWと決まった場合、接続余地はわずかとなる。四国電力も接続可能量・219万kWに対して承諾済み・211万kW、北陸電力は接続可能量70万kWに対して承諾済み・63万kW、中国電力が接続可能量558万kWに対して承諾済み・429万kWとなっており、いずれも接続余地が少なくなっている。

 東北電力の場合は、太陽光の接続可能量・552万kWに対し、584万kWの接続を承諾しており、すでに可能量を上回っている。これに関し、同社は「すでに承諾した分に関しては、現行制度に基づき接続し、運用の工夫により、出力抑制の日数を極力30日以内に留めるように努力する」と述べた。

 こうした状況のなかで、会合では、接続拡大の方策について討議した。方策の柱は、「出力抑制ルールの見直し(抑制日数の拡大、時間管理、抑制対象範囲の拡大)」「蓄電池の活用」「地域間連系線の活用・増強」などで、その効果について、電力会社が公表した。それによると、北陸電力、中国電力、四国電力では、抑制ルールの見直しや蓄電池の活用がある程度見込めるものの、接続限界に近い量を承諾している九電や東北電力などは、既存の接続済みの設備も含めて抑制ルールを変更しないと接続可能量の拡大効果がないことが示された。

 会合では、接続可能量の拡大方策として、費用対効果が高く法改正を伴わずに導入できる方策として、「出力抑制ルールの見直し」を評価する意見が多かった。北海道電力は、すでに接続可能量である117万kWを大きく上回る251万kWの太陽光発電設備を接続承諾しているが、その背景には30日を超える無補償での出力抑制を許容した場合に接続するという制度をすでに導入していることがある。

 今後、系統WGでは、7電力会社が提出した接続可能量の評価を確定するとともに、それを踏まえ、新エネルギー小委員会の場で、接続可能量を超えた後の接続条件のあり方、運用ルールの変更などについて、議論することになる。