GPM社の概要
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グループのシナジー
グループのシナジー
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 日本電産は2014年12月12日、欧州で第2位の車載ポンプメーカーの全株式を欧州の子会社NIDEC MOTORS & ACTUATORS(GERMANY)社を通じて取得することで創業家と合意したと発表した。株式取得する会社名は「Geräte- und Pumpenbau GmbH Dr. Eugen Schmidt」(以下、GPM社)。

 GPM社はエンジンから駆動力を得る車載ポンプを製造するメーカーである。具体的な製品としては、エンジン冷却用のウオーターポンプやパワーステアリングなどに使う油圧ポンプなどがある。同社のポジションについて日本電産 代表取締役会長兼社長の永守重信氏は「欧州2位といっても1位の会社とシェアは数ポイント程度しか変わらない」とする。

 現在、車載用ポンプでは電動ポンプの需要が拡大している。電気自動車(EV)やハイブリッド車(HEV)などの電動化やアイドリングストップ搭載の進展しているからだ。GPM社にとっては、電動ポンプの開発が課題となっていた。また、自動車メーカー間の国際的な競争の激化により、中国や北米などでの大規模な部品供給をドイツ系の自動車メーカーから求められていた。つまり、モーター関連技術と生産規模拡大のための投資を必要としていた。一方で、日本電産は欧州の車載電動ポンプ市場への参入を狙っていた。この両社の利益の一致をみたことで、株式譲渡が成立したという。

 今後はGPM社では、従来のポンプ技術と日本電産グループのモーター、ECU技術を組み合わせて電動ポンプを製造する。なお、日本電産は日本電産トーソクを通じて車載向けの電動ポンプを市場に既に参入済み。とはいえ、日本電産トーソクは欧州メーカーに対してプレゼンスがなかった。「新しい市場に参入するには10年~15年かかる。GPM社を通じて欧州メーカーとつながることでこの時間を短縮できる」(永守氏)。GPM社と日本電産トーソクは納入先の企業が異なることから競合せず、逆に日本電産トーソクにGPMのポンプ技術を導入したり、各企業の製品を相互のチャネルを通じて販売することでシナジーが考えられるという。