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HOMEロボット > もう強く念じなくてもOK、ATRが新型の脳マシンインタフェースを開発、家電操作を披露

もう強く念じなくてもOK、ATRが新型の脳マシンインタフェースを開発、家電操作を披露

  • 進藤 智則=日経エレクトロニクス
  • 2014/12/05 21:13
  • 1/2ページ
会見するATR 脳情報研究所所長の川人光男氏
会見するATR 脳情報研究所所長の川人光男氏
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Aの実演で、ユーザーがBMIを通じてテレビをつけようとしている様子
Aの実演で、ユーザーがBMIを通じてテレビをつけようとしている様子
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Bの実演で、身体装着型ロボットアクチュエーターが、上半身が不自由なユーザーに水を飲ませようとコップに水を汲んでいる様子
Bの実演で、身体装着型ロボットアクチュエーターが、上半身が不自由なユーザーに水を飲ませようとコップに水を汲んでいる様子
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Aの実演において、EEGから得たユーザーの情動を表示している様子。写真後方の照明の色が情動を示しており、支援者が目で確認することができる。
Aの実演において、EEGから得たユーザーの情動を表示している様子。写真後方の照明の色が情動を示しており、支援者が目で確認することができる。
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Aの実演向けの脳計測装置の外観
Aの実演向けの脳計測装置の外観
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Aの実演向けの脳計測装置の外観(後方)
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Bの実演向けの、身体装着型ロボットアクチュエーターの外観
Bの実演向けの、身体装着型ロボットアクチュエーターの外観
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 ATR(国際電気通信基礎技術研究所)などは、高齢者や体の不自由な人々の日常生活を支援するためのBMI(brain machine interface)を開発した。可搬型の脳計測装置により脳活動を計測し、特別な負担なしに家電や屋内の照明などを操作できる。

 ATRに加えて、NTT、島津製作所、積水ハウス、慶応義塾大学が共同で開発した。京都府のATR構内に設置したBMIの実験施設「BMIハウス」にて、2014年12月4日に実演を行った。

 今回のBMI技術の特徴は、動作などを強く念じなくとも、自然な動作だけで家電などの操作を可能にした点である。上記の5社は2012年11月にも、BMI技術の発表をしているが、その際のBMIは、ユーザーは動作などを頭の中で強く念じる必要があった。

 披露した実演は主に2種類。(A)手など上半身を動かせるユーザーに向けたBMI、(B)手などを動かせないユーザーに向けたBMIである。いずれのBMIも車いすに搭載してある。

 利用する脳計測装置は、Aが近赤外分光脳計測装置(NIRS)および脳波計測装置(EEG:electroencephalography)、BがEEGである。なお、BのBMIでは、新たに開発した身体装着型のロボットアクチュエーターによって、ユーザーの動作をアシストする。

3択の動作選択で正答率は84%

 Aの実演では、テレビの電源を入れる、エアコンをつける、読書のために部屋の照明をつけるという3種類の動作を、BMIを通じて操作できることを示した。動作を思い浮かべるのではなく、実際に手を動かしてリモコンをテレビに向けるような動作をする。その際の脳活動を基に正答を判別する。ユーザーが思い描いた通りの操作ができる割合(正答率)は84%であるという。

 AのBMIにおいて、家電などの操作に利用するのはNIRSのみである。EEGは、ユーザーの不快感など情動を検出する用途で利用している。就寝時に車いすからベッドに移るなどの際、支援者がユーザーの情動を理解しやすいよう、EEGから得た情動を照明の色で表示するシステムを設けた。

 NIRSによる3択の判定は、パターン認識で一般的に用いられるSVM(support vector machine)を用いた。今回、2人の被験者にNIRSを付けた状態で合計27時間、BMIハウス内で日常生活をしてもらった。この27時間分のNIRSデータと、映像を解析し人手で70種類ほどの動作をタグ付けしたデータを付きあわせた。すると、NIRSを用いることで、ユーザーの動作の意図などを比較的容易に検出できることが分かったという。

 開発を担当したATR 認知機構研究所 動的脳イメージング研究室の小川剛史氏は「NIRSはBMIとして用いるには遅延が大きいこともあり、活発にデータが取られていなかった面がある。27時間分ものデータを取ったのは初だろう」と語る。

 一般にNIRSは、fMRIなどと同様に、脳活動に伴う脳の血管内の血流の変化を読み取る。ある脳の部位が活発に活動しても、それが血流の変化に反映されるには5秒ほどの遅延があるため、EEGなど電気的な脳計測装置と比べるとリアルタイム性に乏しいのが難点である。ただし、ATRは、テレビやエアコンなど家電を操作するといった目的では、遅延はそれほど大きな問題とはならないと判断し、NIRSを採用したという。

 BMIに用いたNIRSは、脳の運動野周辺に配置した8チャネルである。5秒ほどの長さのウィンドウのデータから11点をサンプルして動作を判別し、判別結果の動作にボーティング(投票)を行う。その後、ウィンドウの位置を0.1秒ほどずらしながら時系列データに対し次々と判別を行い、特定の動作についてボーティング結果が50票以上となった時点で、それを正解データとして出力する形である。BMI全体としての遅延時間は、合計で17秒ほどである。

ホンダと開発していたBMIとは別物

 ATRは、ホンダの研究子会社であるホンダ・リサーチ・インスティチュート・ジャパン(HRI)などともBMIを共同開発し、2009年に発表している。

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