日立造船は、同社築港工場(大阪市大正区)に中規模工場に対応可能なマイクログリッドを構築し、10月14日から実証実験を開始した。太陽光発電(130kW)、蓄電設備(蓄電容量50kWh)、パワーコンディショナー(PCS)、コンバーターなどを設置し、負荷設備は、築港工場内の空調機器などになる。2015年3月まで実施する。

 今回導入したマイクログリッドのシステムは、太陽光発電や風力発電など複数の発電設備と蓄電設備を繋ぎ合わせ、使用電力を制御することで、安定した電力供給の実現を目指す。BCP(事業継続計画)対策や省エネ対策として活用できる。

 既存の電力系統から独立し、自立運転が可能なことから、災害時の非常用電源としても活用できる。省エネ対策としては負荷機器を最適に運用するピークカット制御、また、安価な夜間電力を蓄電し昼間の電力ピーク時に使用するピークシフト機能により契約電力を引き下げることが可能になる。

 同社は、2012年4月から舞鶴工場(京都府舞鶴市)の制御機器センターで約100kWの設備規模によるマイクログリッドシステムの研究開発を進めてきた。同センターでの運用実績では、制御機器センター内の使用電力を約2割削減できることを確認した。

 今回の実証実験では500kWの設備規模に対応できるシステムの構築を目指しており、製造工場、ビルなどでの運用を想定する。将来的には同社のごみ焼却発電プラントに導入できるよう大規模施設への対応を目指すという。同社独自の技術として、鉛電池やリチウムイオン蓄電池の両方に対応した蓄電システムを持ち、太陽光発電など既存の設備を活用したシステム導入も可能という。