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 新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)は、太陽光発電の新たな技術開発指針「太陽光発電開発戦略(NEDO PV Challenges)」を策定した。技術開発指針の策定は、2009年の「太陽光発電ロードマップ(PV2030+)」以来、5年ぶりとなる(関連記事)。

 前回、2009年にPV2030+を策定してから、国内では固定価格買い取り制度が始まるなど、太陽電池の導入が加速的に増加した。そこで今回のNEDO PV Challengesでは、太陽電池の大量導入社会を円滑に実現するための課題と解決技術についてまとめた。太陽電池を「いかに普及させるか」から「いかに使いこなすか」へ転換して、「作る」だけでなく「使う」にも注力する方針を打ち出した。

 例えば、従来からの発電コスト低減だけでなく、立地制約に関する問題などを解決する必要があるとした。具体的には(1)適地の獲得競争による土地価格の高騰、(2)系統連系の許容制約による対策費用の追加、(3)メンテナンス費用などの課題に対処する。(1)を解決する手段として、ビルや傾斜地、農地、水上といった太陽電池の未利用領域への導入拡大技術を挙げた。

 また産業競争力の観点から、セルやモジュールなどの製造に加えて施工や発電事業までを含めた、太陽光発電産業全体の基盤強化が必要とした。背景には、セル・モジュールメーカーが価格低下に苦しむ一方で、施工・発電事業などの川下産業が急成長し、産業構造が変化している現状がある。

 この他に、廃棄物の大量発生に備えて、リサイクル処理技術の実用化を着実に進める。撤去・回収・分別などにおいても、低コスト化技術の有効性や実現可能性を検討することが重要とした。なお「電気事業者による再生可能エネルギー電気の調達に関する特別措置法」の附帯決議では、「耐用年数経過後において大量の廃棄物の発生を防ぐ観点から、設備のリサイクルシステム構築等、早急に必要な措置を講ずること」とある。