微小検出素子で分解能向上

 放射性薬剤が集積したがん細胞から放出されるガンマ線を受ける検出素子には、臨床用PET装置としては世界最小サイズ(一辺1.44mm)のシンチレータを採用し、高い空間分解能を実現した。また、検出器を乳房の周りにリング状に近接して配置することで、全身用PET装置よりも検出感度を大幅に向上したという。

空間分解能を高めた
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 製品価格は4億円(税別)。検査を受ける場合の個人負担額は3割負担の場合に1万2000円。全身PETと合わせて4万2000円となる。

 4日の製品発表会に登壇した島津製作所 取締役 専務執行役員 医用機器事業部長の鈴木悟氏は、今後の展望について、「Elmammoの単独での使用を可能にしたい。例えば、術前に(腫瘍を小さくするために)行う化学療法の効果判定における有効性などを検証していきたい」と語った。年間10台以上の販売を目指し、さらに海外への展開も目指すという。

 製品発表会には、京都大学大学院 医学研究科 放射線医学講座 講師の中本裕士氏も登壇。スーパー特区の仕組みを利用し、薬事未承認の段階のElmammoを試験的に臨床に適用した事例を紹介した。全身用PET装置では検出が難しかった、腫瘍組織内の不均一さ(部分的壊死など)を描出できるといった、高い有用性を実証できたという。

腫瘍組織内の不均一さなどを描出できる
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