図1◎会見に臨むリオンの成沢良幸氏
図1◎会見に臨むリオンの成沢良幸氏
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図2◎展示した補聴器「スーパーミニカナール極」(右)
図2◎展示した補聴器「スーパーミニカナール極」(右)
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図3◎展示した補聴器「RIONETMAJESシリーズ」
図3◎展示した補聴器「RIONETMAJESシリーズ」
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 国内補聴器メーカー大手のリオンは2014年8月29日、東京都内で記者懇談会を開催した。この中で、同社R&Dセンター技術開発部長の成沢良幸氏は、「2030年 暮らしの中の補聴器」と題し、未来社会における補聴器の重要性を指摘した(図1)。

 日本では2030年に65歳以上の高齢者人口比が、31.6%(2010年度は23.0%)に達する。リオンによれば、現在では65歳以上の高齢者のうち、過半数にあたる56%が難聴を患っていると推計されている。高齢化の進行に伴い、難聴者はますます増加すると考えられる。

 このような未来社会において、補聴器の果たす役割はますます重要になると成沢氏は指摘する。超高齢社会が到来したとき、高齢者が不自由のない生活を送るためには、補聴器が欠かせなくなるという(図2、3)。そして、その補聴器は「現在のものよりも、もっと快適さや利便性が増していなければならない。難聴者と一体化し、“耳”そのものになるのが望ましい」(成沢氏)。

 同社が想定する未来の補聴器は、例えば次のようなものだ。体の一部のように入浴中や睡眠中でも24時間常に装着できたり、無線通信によって駅や空港のアナウンスや防災無線など、従来の補聴器では拾いづらい音を受信できたりする。さまざまな機能を付加した、難聴者以外も使えるようなウエアラブルデバイスとしての利用も考えられる。こうした利用シーンを実現するためには、補聴器そのものの技術進化に加えて、「社会インフラの整備が重要な課題になる」(同氏)とした。