シエル・テール社の水上架台「Hydrelio」(出所:京セラ)
シエル・テール社の水上架台「Hydrelio」(出所:京セラ)
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水上設置型メガソーラーのイメージ(出所:京セラ)
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 京セラは8月29日、世界最大級の水上設置型メガソーラー(大規模太陽光発電所)を兵庫県加東市に設置すると発表した。同社と東京センチュリーリースの共同出資SPC(特定目的会社)である京セラTCL ソーラー合同会社が、フランスのシエル・テール・インターナショナル社から「水上架台」を調達して建設する。今年9月に着工し、来年4月に稼働する予定。

 水上架台とは、水上に太陽光パネルを設置するための浮体構造物。シエル・テール社の水上架台(商品名「Hydrelio」)は、紫外線や腐食に強い高密度ポリエチレン製で、100%リサイクルが可能という。シエル・テール社が開発して特許を持ち、すでにフランスで3年以上の稼働実績がある。台風にも耐えられる十分な強度設計、連結技術を採用しているという。

 京セラTCL ソーラー合同会社は、シエル・テール社の水上架台を活用し、今後、水上設置型メガソーラーに積極的に取り組む。その第一号案件として、兵庫県加東市の西平池と東平池に合計約2.9 MW分を今年9月に建設し始める。京セラによると、西平池に建設予定のメガソーラー(約1.7MW)は、水上設置型では世界最大となるという。

 京セラTCLソーラーは全国28 カ所(合計92.8MW)で太陽光発電所を開発し、うち11 カ所(合計21.6MW)がすでに運転を開始した。全国で太陽光発電の導入が次々と進み、メガソーラーの用地が減少していく中、従来からの遊休地などを活用した地上置き型、工場・倉庫などの屋根を使用する屋根置き型の発電所の開発に加え、新たに水上設置型メガソーラー発電事業に取り組む。

 年間を通じて降水量の変化が大きい日本では、農業用ため池、河川増水時の調整池など全国に多くの池があり、これらの水面を使用し発電事業を行う。同事業では、現在100 件を超える引き合いがあり、2014 年度内には全国のため池などを対象に合計約60 MWの水上設置型メガソーラーの開発を目指している。

 水上設置型メガソーラーは、水上に設置することで冷却効果が得られ、地上置き型・屋根置き型と比べて高い発電量が期待できるほか、太陽光パネルが水面を覆うことで、貯水の蒸発量の軽減や藻類の異常発生を防げるなどの利点があるという。

■変更履歴
第一段落で「加西市」としていましたが、「加東市」です。お詫びして訂正します。本文は修正済みです。 [2014/9/1]