楽天エネジーは、宿泊施設にエネルギーソリューションを提供している(出所:楽天エネジーのホームページ)
楽天エネジーは、宿泊施設にエネルギーソリューションを提供している(出所:楽天エネジーのホームページ)
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 楽天は6月3日、クリップス(新潟県新潟市)、および新電力のグローバルエンジニアリング(福岡県古賀市)と、宿泊予約データと電力消費データとの相関関係に基づく電力需給予測システムを構築することで合意したと発表した。

 クリップスは、楽天トラベル契約施設に対し、初期費用・月額利用料無料にて、複数の予約サイトでの客室在庫や予約管理の一元化を可能にする、クラウド型サイトコントローラー「ねっぱん!」を提供している。また、グローバルエンジニアリングは楽天エナジーと連携し、2013年12月1日より楽天トラベル契約施設向けにエネルギーデータの詳細分析に基づく電力マネジメントサービスを提供している。

 グローバルエンジニアリングが新たに確保する予定の九州エリアの再生可能エネルギー電源を活用し、同サービスを拡大するにあたり、新電力会社の経営上の大きなリスクであるインバランス(電力需要量と供給量のズレ)を低減したいとの考えから、3社で合意した。

 クリップスが保有する前日の宿泊予約データやその後のキャンセルデータを活用し、電力需要の予測の精度を高めて需給のバランシング(電力需給の調節)を効率化することで、これまで新電力参入の障壁の一つとされているインバランス料金(30分間の電力需給が一定程度逸脱した場合のペナルティ)を最小化するための統合システムを構築する。今回の取り組みは、現在、経済産業省総合資源エネルギー調査会基本政策分科会電力システム改革小委員会制度設計ワーキンググループで議論されている「30分実同時同量」から「計画値同時同量」への制度変更を見据えている。電力需要の予測精度が上がると、需要家の「計画値」管理が容易になる。

 同システムは、楽天GORAや楽天ウェディングなど、旅館・ホテルと同様に予約情報を有する業態への適用も視野に入れている。実インバランス量の低減とあわせ、特に再生可能エネルギー電源を有する事業者においてニーズの強いART(Alternative Risk Transfer: 代替的リスク移転)などを活用した残余リスクヘッジについても検討を進めていく。これらの取り組みにより、今後、「楽天経済圏」における再生可能エネルギーの活用を促進していく方針という。