図1 買収の狙いを語るSynaptics社President and CEOのRick Bergman氏(右)と、ルネサスエスピードライバ(RSP)代表取締役社長の工藤郁夫氏(左)。
図1 買収の狙いを語るSynaptics社President and CEOのRick Bergman氏(右)と、ルネサスエスピードライバ(RSP)代表取締役社長の工藤郁夫氏(左)。
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 米Synaptics社は2014年6月10日(米国時間)、中小型液晶ドライバーIC事業を手掛ける、ルネサス エレクトロニクス連結子会社のルネサスエスピードライバ(RSP)を買収することを発表した(関連記事)。Synaptics社は、ノートパソコンのタッチパッド用ICでは世界シェアの約60%を、スマートフォンやタブレット端末のタッチパネル用ICでは同約42%を握っている。

 Synaptics社とRSPは6月11日午後に、今回の合意内容に関して東京都内で記者会見を開いた。Synaptics社President and CEOのRick Bergman氏が登壇し、買収の狙いや今後の方針を示した(図1)。同氏は会見中、何度も「世界のリーダー2社が一緒になることで、ヒューマン・マシン・インターフェース(HMI)の領域で圧倒的なナンバーワンの地位を確保する」と繰り返した。Bergman氏の主な発言は次の通り。強気に満ちた言葉が並んだ。

 「Synaptics社は、スマートフォンなど向けのタッチコントローラーICやノートパソコン向けのタッチパッドICで世界1位のシェアを握っている。指紋センサーでも世界1位だ。RSPは、中小型液晶ディスプレー用ドライバーICで世界最大のサプライヤーである。RSPの買収によって、HMI業界の2つのリーダーが手を組む形になる。2つのリーダーが協力することで、新しいHMI体験を提供できる。何より重要なのは、1社でサービスを提供できるようになること。顧客に統合化した製品や顧客サービスを提供できる」

 「今回の買収はSynaptics社の歴史においても最大の買収となる。買収金額は4億7500万米ドル(約485億円)。RSPの株式を100%、2014年第4四半期(10~12月)までに取得する予定である。取り引きが完了すると、RSPの350人の従業員はSynaptics社のメンバーに加わる。アジアにいる我々の顧客との距離はさらに短くなり、拠点の拡大にもつながる。Synaptics社としては、RSPの社員全員に仕事を継続してもらいたいと考えている。我々は成長している会社。全ての従業員が継続してくれることを願っている」