治療室のイメージ
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国立がん研究センター東病院に納入したシステムの回転ガントリー照射装置
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 住友重機械工業は、陽子線治療装置の納入に関する契約を社会医療法人禎心会(北海道札幌市)と交わした(リリース)。回転ガントリー照射装置とサイクロトロンを上下に配置することで、設置面積の低減を可能としたシステムである。将来、回転ガントリー照射装置とその建屋を増設して2治療室に拡張できる設計を業界で初めて採用した。

 照射機構は、実績の豊富な拡大ビーム法(ワブラー法)、および最先端の照射方法である「ペンシルビームスキャニング照射法」の両方に対応する。それぞれの特性を生かし、対象疾患に応じて使い分けることが可能だ。患者位置決めには、2次元画像および3次元画像を用いた高精度画像誘導システムを用いる。

 納入先となる禎心会は、札幌市と稚内市で病院3施設、クリニック3施設、介護事業所20カ所を運営している。今回の陽子線治療装置を導入する施設は、札幌市東区に建設する新しい病院に併設する形で建設する。X線による放射線治療、さらには外科手術や化学療法と組み合わせた集学的がん治療の一翼を担うという。

 住友重機械工業は1997年に日本初、世界2番目の病院設置型の陽子線治療装置を国立がんセンター東病院(現・国立がん研究センター東病院)に納入した。以来、同装置は15年以上にわたって安定に稼働している。この他、台湾・長庚紀念病院、社会医療法人財団慈泉会相澤病院(長野県松本市)、韓国Samsung Medical Centerから受注しており、治療開始に向けた準備を進めているという。