凸版印刷とシスメックスは、凸版印刷子会社の理研ジェネシスに共同出資し、遺伝子解析・検査事業で協力する(リリース)。両社が保有する技術のシナジーを生かし、個別化医療への取り組みを加速させるという。出資比率は凸版印刷が63.2%、シスメックスが36.5%。残り0.3%を理研ジェネシスの出資元の一つである理研ベンチャーキャピタルが出資する。

 今回、遺伝子解析技術による個別化医療の実現という方向性で一致したことや、3社が保有する技術のシナジーへの期待から、資本提携に至ったという。短期的には、理研ジェネシスとシスメックスが保有する製薬企業とのコンパニオン診断薬開発案件のパイプラインを活用し、日本発のコンパニオン診断の世界展開を目指す。中長期的には、バイオマーカーの発見から実用化にいたるまでの各ステージにおける遺伝子検査に対するさまざまなニーズに対応していくという。

 理研ジェネシスは、凸版印刷が理化学研究所および理研ベンチャーキャピタルと共同で2007年に設立した企業。遺伝子解析技術やバイオインフォマティクスを活用した遺伝子受託解析サービスなどを手掛け、個別化医療に関する技術や経験、ノウハウを持つという。凸版印刷は理研ジェネシスをライフサイエンス事業の中核に位置付け、がん化の要因となる遺伝子変異を迅速に検出できる遺伝子解析システムを共同開発するなど、遺伝子検査領域に力を入れてきた。

 一方、シスメックスは個別化医療に向けた検体検査技術のプラットフォーム拡充を進めてきた。デジタルPCR技術を持つドイツInostics社を2013年に買収するなど、近年その取り組みを強化している。