法面に設置した小松堀排水路発電施設(出所:ソーラーフロンティア)
法面に設置した小松堀排水路発電施設(出所:ソーラーフロンティア)
[画像のクリックで拡大表示]
松山発電施設(出所:ソーラーフロンティア)
松山発電施設(出所:ソーラーフロンティア)
[画像のクリックで拡大表示]

 新潟県の亀田郷土地改良区は、農業地域の環境整備の一環として、区域内に出力合計で800kWの太陽光発電所を建設し、発電を開始した。

 亀田郷は信濃川と阿賀野川に囲まれた新潟市内の農業地区で、亀田郷土地改良区は区内1500戸の農家が共同利用する農業用水路・排水路の管理や農道の整備などを担っている。

 建設した太陽光発電所は、新潟市内の農業排水路の法面に太陽光パネルを並べた「小松堀排水路発電施設」と、土地改良施設用地に平置きした「松山発電施設」の2つ。小松堀発電施設は用水路沿いの約1kmの法面部分に2232枚のパネルを並べた。出力は368kWに達する。農業用排水路法面への大規模設置例は全国で初めて。パネルは法面にほぼ平行に設置することで、設置角度は約30度になる。年間発電量は36万8000kWhを見込む。松山発電施設は、5200m2の敷地に2620枚のパネルを設置し、出力は432kWで年間予想発電量は43万2000kWhになる。

 亀田郷土地改良区は、2011年から東京大学国際高等研究所サステイナビリティ学連携研究機構、昭和シェル石油と共同で、農業用排水路法面を有効活用した太陽光発電の実証実験を続けてきた。太陽光パネルを法面に設置することで法面維持と雑草抑制に効果があることが分かっている。
 
 太陽光パネルは両発電所ともソーラーフロンティア(東京都港区)製のCIS薄膜型を採用。積雪で生じる影の影響が少ないことなどが評価された。パワーコンディショナー(PCS)は小松堀排水路発電施設では安川電機製(10kW×32台)、松山発電所では日立産機製(100kW×4台)を採用した。