GS Juniorベンチトップシステム
GS Juniorベンチトップシステム
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 ロシュ・ダイアグノスティックスは、同社の次世代DNAシーケンサーで一度に解読できる塩基長を増やせるソフトウエアと専用試薬を2014年6月9日に発売する(リリース)。一度に解読できる塩基数が従来の平均約400塩基から平均約700塩基へと増えるため、1塩基あたりの解読コストを削減できる。

 同社は、研究室レベルの実験規模に合わせた次世代シーケンサー「GS Juniorベンチトップシステム」を2010年6月から販売している。今回はソフトウエアと専用試薬を改良し、一度に解読できる塩基数を増やした「GS Junior+(プラス)ベンチトップシステム」の提供を開始する。既存ユーザーは新たにハードウエアを購入する必要はなく、ソフトウエアの更新のみでアップグレード可能である。

 今回導入するロングリードシーケンシング技術により、コンティグ(連結断片)間のギャップが埋まり、追加の実験を抑えられるようになる。また、複数の多様性領域をまたぐような塩基配列を解析できるようになるなど、幅広いニーズに対応可能とする。具体的には、まだ解読されていない新規ゲノム配列の解読(de novoシーケンシング)や、トランスクリプトーム解析、メタゲノム解析、HLAタイピングなどに適するという。

 ここでトランスクリプトーム解析とは、ある生物個体や組織、細胞の転写産物(mRNA)の全体像を把握することで、対象とする遺伝子発現の全体像を見る研究手法。メタゲノム解析とは、環境中に含まれる微生物由来のDNAを抽出し、塩基配列を網羅的に調べることで、環境中の生物集合体がもつ遺伝子群を明らかにする手法である。HLAタイピングは、ヒトの組織適合性抗原であるHLA(ヒト白血球 抗原)の型を特定することを指す。