肝動脈化学塞栓術のイメージ図
肝動脈化学塞栓術のイメージ図
[画像のクリックで拡大表示]
発売したカテーテル
発売したカテーテル
[画像のクリックで拡大表示]

 テルモの100%子会社であるテルモ・クリニカルサプライは2014年5月29日、血管内でバルーンを膨らませて血流を止めるカテーテル(オクリュージョンマイクロバルーンカテーテル)の新製品を発売した(リリース)。膨張を制御しやすいようにバルーンを再設計したほか、バルーン部にマーカーを付けてX線透視下で位置を確認しやすくした。価格は12万3000円で、2014年度に6億円の売り上げを目指す。

 オクリュージョンバルーンカテーテルは、血流を一時的に遮断するために用いる、先端に風船のついたカテーテルである。カテーテルを使って肝臓がんを治療する「肝動脈化学塞栓術(transcatheter arterial chemoembolization:TACE)」などに向ける。

 TACEは血管にカテーテルを挿入し、肝臓の動脈から腫瘍の近くまでカテーテルを進めて、抗がん剤や塞栓物質を注入して腫瘍を選択的に壊死させる治療法である。TACEでは、オクリュージョンマイクロバルーンカテーテルを用いることで血管を一時的に閉塞させ、その結果起きる肝臓内の血流動態の変化を利用して効果的に抗がん剤や塞栓物質を注入する手法「Balloon occluded TACE:B-TACE」の導入が検討されている。B-TACEでは、より末梢の血管で閉塞できるオクリュージョンバルーンカテーテルが求められており、今回の製品はこれに応えるもの。

 今回の新製品「アテンダントネクサス」では、カテーテル径を細くすることで、入り組んだ末梢血管内への到達性を高めた。さらに、X線透視下において血管内でのバルーンの位置を確認しやすくするために、マーカーバンドを追加した。この他、血管径にあわせて膨張径を制御できる俵状のバルーンを採用した。