東京工業大学・東京医科歯科大学発ベンチャー企業のリバーフィールドは、2014年5月中に設立手続きを済ませると公表し、事業化を進めている「立体内視鏡操作システム」などの事業化計画を発表した。この発表は、文部科学省が同年5月14日に開催した「大学発ベンチャー再興シンポジウム」の第2部「次世代大学発ベンチャー紹介」セッションとして実施された(参考記事を参照)。

 平成24年度(2012年度)から始めた大学発新産業創出拠点プロジェクトの平成24年度に採択された「気体の超精密制御技術を基盤とした低侵襲性手術支援ロボットシステム」は、研究実施機関として東工大精密工学研究所と東京医科歯科大などが、事業プロモーターとしてジャフコ(JAFCO、東京都千代田区)の組み合わせで推進中だ(参考記事)。

 同事業プロジェクトのリーダーを務める東京医科歯科大生体材料工学研究所教授の川嶋健嗣氏は、空気圧駆動の内視鏡保持マニュピュレーターとヘッドマウントディスプレー(HMD)を組み合わせた立体内視鏡操作システムの製品化を進めている。この空気圧駆動マニュピュレーターは「手術中に患部からの反力(力覚)を感じることができる点が従来品にはない特徴」と川嶋氏は説明する。そして「この立体内視鏡操作システムは薬事承認のクラス1を得て、動物実験を経て、臨床実験に入っている」(同氏)という。

 「β版の試験販売を2014年9月から始め、同年12月から製品を市場に出す計画」とする。このため、製品製造会社であるベンチャー企業のリバーフィールドと組んで、販売を担当する医療機器販売業の候補会社と連携する計画を進めている。ベンチャー企業のリバーフィールドの資本金や本社所在地、従業員数などは未公表である。さらに、2015年度からは欧州(EU)での販売開始を始める計画だ。

 さらに、空気圧駆動マニュピュレーターを利用する手術支援ロボットは、「2015年度に臨床実験に入り、2018年2月に薬事申請に入り、同年12月に薬事承認認定を受ける見通しの事業計画のもとで製品化を進めている」(川嶋氏)という。