四半期ごとのシャープの出荷量。グラフ中の数値は世界ランキングを示す(図:NPD Group社)
四半期ごとのシャープの出荷量。グラフ中の数値は世界ランキングを示す(図:NPD Group社)
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 シャープが2014年第1四半期に、太陽電池モジュールの出荷量で5年ぶりに世界首位の座に返り咲いた。米NPD Group社の太陽電池部門であるSolarbuzzが、同社の「Module Tracker Quarterly」の中で明らかにした。

 シャープは、中国メーカーが台頭する前の1963年から2008年までの45年間にわたって、太陽電池業界のリーダーの座を維持してきた。その後2009年からは、割安な結晶Si型太陽電池で勢いを増した中国メーカーと、生産コストが低いCdTe型太陽電池を製造する米First Solar社に首位を明け渡した。

 今回、シャープが再び首位の座に返り咲いたのは、堅調な日本市場の季節要因に支えられただけでなく、調達戦略を変更したことが奏功した面が大きい。

 シャープは長い間、垂直統合戦略を推進し、自社でセルからモジュールまでを生産してきた。しかしその後、一部のセルを主に中国や台湾を拠点とする企業に生産委託することで、シャープ自身は「モジュール販売に重点を置くようになった」(Solarbuzz)。

 外部からセルを調達するフレキシブルな体制への変更によって、需要に対して素早く出荷量を増やすことができた。Solarbuzz Senior AnalystのRay Lian氏は、今回のシャープの成功によって、「自社生産と外部調達をコントロールして、短期的な商機の変化に対応できるファブライト戦略の有効性が証明された」とする。